事業面のサポートや経営者としての目線を上げていただくなど、お金だけではない付加価値がありました

BASE株式会社
代表取締役CEO
鶴岡 裕太 氏

事業内容を教えてください。

BASEは2012年12月に創業し、誰でも簡単に自分だけのオリジナルのネットショップが開設できるEコマースプラットフォーム「BASE(ベイス)」を提供しています。
これまでネットショップは社内にエンジニアやデザイナーがいる会社が自社で制作するケースや、資金的にゆとりがある事業者が制作会社に委託するケースが一般的でしたが、BASEはモノづくりをしている方が、ご自身で簡単に開設できる点が特徴です。誰でも簡単に操作できるインターフェースであり、ユーザーにリスクがないように売れた時のみ手数料が発生するビジネスモデルとしています。また、従来はネットショップを作る機能と決済機能を別々の会社が提供していることが多かったですが、弊社ではそれらを含めたネットショップに必要な機能をワンストップで提供しており、インターネットに詳しくない方でも、すぐに、簡単にネットショップを始められるサービスとなっています。

「ネットショップを作りたいけれど、難しくてよく分からない」という鶴岡CEOのお母様の一言がサービスを作られたきっかけと伺っています。
サービスを個人事業で終わらせず法人化させた理由、IPOを目指された理由は何でしょうか。

元々Webサービスを作るのが好きで、家入さんのCAMPFIREでエンジニアのインターンとして働いていましたが、自分も起業しようとは考えていませんでした。ちなみにその時のインターンとしての給料は月1万円で、もはや交通費で赤字なんですが(笑)、この金額設定は逆に良かったです。会社が1万円の期待値でいてくれると色んなことを習いやすくて、本当に多くのことを勉強させていただきました。

その後、母のネットショップをやってみたいという一言をきっかけに、母と同じようにネットショップに挑戦してみたい人々がいるのでは無いかと考え、個人的に決済サービスが好きだったこと、世の中の動きなどから着想を得て、「BASE」というサービスを始めました。最初は個人で続けてもよかったのですが、サービスをローンチしてからとても多くのユーザーに使っていただく中で、プロダクトを安定的に提供しなければという責任感が生まれてきました。また、懇意にしている投資家の方々のアドバイスもあり起業しようと決めました。とはいえ、プロダクトを作るのが個人的には一番好きで、プロダクトを作るために会社が必要であるという考えであったため、起業して経営をしたいというよりも、適切なサービス作りやそのハードルをできるだけ無くすための会社という位置づけです。そのため、起業してからもずっとサービスを作り続けているという感覚です。

IPOに関しては設立当初から利益よりトップラインの成長を追うべく、エクイティによる資金調達を行ってきたこともあり、いずれExitをすることが果たすべき責任であると思っていました。その中でIPOを目指すことは、良いプロダクトを提供するという夢を長く叶えていくうえではシンプルというか必然の意思決定でした。

サービスの勝ち筋が見えたタイミングがあれば教えていただけないでしょうか。

「BASE」は毎年倍々で成長をしていくというよりは、長い期間をかけて淡々と成長していくサービスです。そのような意味では勝ち筋が見えたタイミングというのはありませんでしたが、創業してから毎年少なからず成長はしていましたので、頑張り続けていれば、諦めなければいつか必ず投資家や株主の皆様に恩返しができるだろうと思っていました。

今後の事業展望を教えてください。

これまでと同じことを淡々と続けていきます。「BASE」は個人やスモールチームをインターネットやWebプロダクトを通じてエンパワーメントしていくことをずっとやってきました。ユーザーが別のプラットフォームから弊社サービスに乗り換えて成長してきた訳ではなく、個人やスモールチームがどんどん強くなっていく世の中で、インターネットで新たなチャレンジをしたい方に選んでいただく中で成長してきました。お金や時間をかけ、一気に営業をして成長を目指すというよりは、世の中の変化や流れに並走して長い目で成長させていかなければならないサービスです。

今後も今までやってきたことを、一層強化していくということをシンプルに追い続けていきたいと考えています。むやみに多角化していくとか、コモディティ化したビジネスをいっぱい作っていくのではなく、今までやってきたこと、ミッションからブレることなくチャレンジしていきます。

出資後の支援についてお聞きしてもよろしいでしょうか。

2016年にご出資いただいた後、提携先として多くの地銀さんを紹介していただきました。地銀や金融機関の上層部の方がたくさん出席される会合やイベントなどにお招きいただき、弊社単独では直接お会いできないような方々を一気にご紹介くださったこともありました。さらに、北尾さんをはじめとしたグループ各社の経営層の方々やインベストメントの担当である田中さんとの日々コミュニケーションにより、経営者としての視座を引き上げていただきました。その他にも、SBIグループのIR活動や日々の営業活動で積極的に弊社を紹介してくださったことで、自社だけでは到底届けることができない方々にまで認知を広め、社会的な信頼獲得に繋がりました。

資金調達にあたってSBIを選んでいただいた決め手は何でしょうか。

弊社のプロダクト・サービスを高くご評価いただき、短期間で想定以上の大きな金額の出資をコミットいただいたことが大きいです。北尾さんのようなレベルの起業家・経営者にお会いできる機会はスタートアップからしたら滅多にないことですので、お会いしたときにとても緊張していたことは今でも覚えています(笑)

SBIさんはベンチャーキャピタルからの投資だけではなく、SBI証券や住信SBIネット銀行など様々なグループ会社からオールSBIとしてサポートいただきましたし、上場後も変わらずお世話になっています。お金だけではない事業面のサポートや経営者としての目線を上げていただいたことなど、普通のベンチャーキャピタルからの投資では得られない付加価値がありました。

経営者として大切にされていることを教えてください。

高い目標、大きなビジョンを持つことです。数字やKPIというものは盲目的に追いかけるものでも、投資家とコミュニケーションするための単なる道具でもなく、あくまでも企業ミッションの達成や豊かな世の中を創るためのものです。そこをないがしろにすると短期的な経営になり、単純にお金儲けをしているだけになってしまいます。意義や志を持ってチャレンジすることが大事だし、目標が高ければ高いほどずっと挑戦し続けることができます。北尾さんは私より40近く年上ですが未だにあのバイタリティで常に次の目標を掲げられています。現状に満足することなくチャレンジされていて、私自身大きな影響を受けています。

弊社業績はユーザーさんの頑張りが足元の数字に表れていますが、弊社がユーザーさんにできることはまだまだあります。マーケットとしてもまだまだ僕たちがサポートできる余地があるので、まずは国内、ゆくゆくは世界で使われるプロダクト・サービスにすべく、高い理想と志をもってチャレンジしていきたいと思います。

会社名

BASE株式会社

設立年月

2012年12月

事業内容

Eコマースプラットフォーム「BASE」、オンライン決済サービス「PAY.JP」及びID決済サービス「PAY ID」の提供